病院が倒産する時代に?

昨今の日本では「不景気」という言葉が毎日のように飛び交っており、景気の回復が根強く待たれていますが、中には景気の回復を見ることなく、経営を維持できなくなってしまったがゆえに倒産してしまうという企業も多く存在しています。
ですがこれは何も民間の一般企業に限った話ではなく、病院などでも経営の悪化から倒産を余儀なくされるという事態が発生しているのです。
ではなぜ、一般の民間企業とは大きく異なる病院という企業が倒産することとなるのでしょうか。
その最たる原因は、昨今実施されてきた医療制度の変化であるとされています。
日本においては国民が全員保険に入ることで、自己負担を抑えつつ健康を維持できるような医療制度が確立されています。
これは世界各国を比較しても非常にすばらしいことであるということには疑いようもありませんが、こうした保険を用いた診療、保険診療においてはすべての医療施設が国の規定に従って料金の算出を行うという義務があります。
これはすべての医療施設でかかる費用を事前に規定しておくことで、価格競争などによる診療内容の劣化などを防ぐ意味があります。
ですがここ数年間では医療説で診療を行った際、その施設に収入として入る「診療報酬」の引き下げが立て続いて行われました。
この診療報酬引き下げという医療制度の変化によって、各医療施設では大きな収入額の減少が引き起こされたのです。
加えて日本は常に、深刻な医師不足を抱えている国です。
例えばOECD諸国を比較しても人口千人あたりの医師数は2.2人と、チリ、トルコ、韓国に続いて低い水準です。
アメリカであれば2.5人、フランスであれば3.3人、ギリシャにいたっては6.1人の医師が存在しているということをかんがみると、これは明らかに「医師不足」といえます。
通常の企業であれば収入が減ればコストカットを行う、つまり支出を減らすことで対応をしますが、こと病院に関しては医師も看護士も不足しているのですから、コストカットも満足にできません。
そのため各医療施設では「収入が減ったのに支出を減らせない」という状態が引き起こされたのです。
日本の医療制度は常に消費者、一般市民のために変化を続けてきましたが、その結果として病院が倒産するという、非常に皮肉な事態が続いています。
日本にはこれからの医療制度の変化について、よりいっそう注意をする必要があるといえるでしょう。